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有給休暇取得(付与)義務化へ


鳥取市の社会保険労務士の田中伸一です。

 6月29日の参院本会議にて、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案が可決、成立しました。この法律案の中に有給休暇5日の取得義務化が含まれています。 (施行日平成31年4月1日)

 いわゆる「働き方改革」の一環で、ずいぶん前からこの有給休暇の取得義務化も議論がされてきていました。今回の「働き方改革」関連の法律ですが、時間外労働の制限(特別条項年720時間、単月100時間と未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)と前述の年10日以上の年休付与者は、毎年時季を指定して年5日の取得を義務とする、というところが中小企業にとっても対策が急がれるところだと思います。

 あと、実は「同一労働同一賃金」(雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保)も中小企業は2021年4月(大企業は2020年4月)も今回の働き方改革関連法案に含まれています。
「同一労働同一賃金」も非常に難しいところですが、今回は有給休暇の取得義務化について考えてみたいと思います。

 よく日本の生産性が諸外国に比べて低いと言われますが、業種としては運輸、小売り、外食、宿泊が生産性の低い業種の典型だと言われています。
 
 たしかに時間帯指定の宅配や小売り、外食の深夜営業、旅館・宿泊施設の接客時間の問題を考えても過重労働のイメージはあると思います。製造業のように出来高で生産性をみるのではなく、サービス業等では一人当りの売り上げでみることになりますが、日本の場合、長時間のサービスが当たり前になっているのでなかなか生産性を上げていくというのは厳しいところはあると思います。

 ただ、これからはサービスには付加価値があり、良いサービスには対価が発生して当然だという風潮が今後日本でも当たり前になってくれば、サービス業で働く人にも収入増となり、生産性も向上していくのだと思います。チップを支払うという文化には日本にはありませんが、当然良いサービスについては、対価が発生すると考えないといけないと思います。長く続くデフレで価格を転嫁することが憚れてきましたが、いよいよ「サービスはただで当たり前」という時代は終わろうとしているのだと思います。

 もう一つ、日本の生産性の低さに総労働時間の長さが指摘されていました。たしかに以前の日本は世界的にも労働時間が長かったのは事実です。ただ、週休2日制も定着し、今やアメリカや他の先進国と比較しても長時間というわけではないようです。
 
 それでも日本はまだ働きすぎというイメージがあるのは、長期の休暇が取れないという現実があるからだと思います。よくヨーロッパの人たちは夏はバカンスで1ヶ月くらい長期休暇をとると聞きますが、たとえばドイツなんかがよく例に上がりますが、ドイツの生産性は日本より少ない労働時間でより高い生産性を上げています。

 それなら週休2日制が定着した日本の休みが必ずしも少ないかというと、実は祝日は世界的にもみても多い方です。日本の祝日は現在年に16日ありますが、先進国をみるとドイツは9日ですし、他の先進国も10日前後のところが多いです。祝日はそれでもどんどん増えてますので、休みが少ないのではなく、政府が一斉休暇を取らせる政策を推進しているところに休みが少ないというイメージがあるのだと思います。しかし、休む人がいるということは、サービスを提供する働き手もいることになります。国民全員が公務員や一部の製造業従事者で暦通りに休みが取れるわけではないはずです。実は私もサラリーマン時代は、小売業に従事していたため、祝日なんて関係がなかったです。

  ここ最近よくドイツの生産性の高さが日本でも話題になり、関連した書籍もたくさん出ていますが、たしかにドイツ人は夏場は朝早くから集中して仕事をして、夕方には退社します。例えば午後4時に退社できれば、ワールドカップも盛り上がりましたが、サッカーをしたり、ゴルフをする時間も余裕であったりするわけです。ドイツなんかは、自分の仕事の範囲が明確なので、それが終わったら帰れるようになっています。日本のように上司の顔色をみながら、自分の仕事が終わっていても帰れないなんてことはないようです。

 一方日本では、ハッピーマンデーを入れた3連休や消費を促すためかキッズウイークの導入を検討したりしていますが、働いてまた休んでまた働いて、こんな働き方で集中して仕事ができるかは疑問に個人的には感じたりもします。公務員や一部の製造業のように暦通りの休日であればいいですが、買い物やレジャーを楽しむにも当然それを提供する人が働いていないと成立しないです。プレミアムフライデーが不評でしたが、こうした一斉付与の休暇を与えるような政策には限界があるように思います。

 有給休暇を与えることについて、あまり歓迎でない経営者も多いですが、たしかに入社半年で正社員であれば10日付与となりますが、入社半年といえば未経験者であれば仕事を覚える期間であり、まだまだ利益で会社に貢献できるところまではいっていないケースもあると思います。それでも有給休暇は労働者の権利です。たまに入社半年で有給休暇を消化して退職するケースもありますが、これは経営者にしてみれば頭の痛いところだと思います。(有給休暇は労働者の権利ですので取得は可能です。)

 有給休暇の目的はリフレッシュです。有給休暇を取ってもらうことで、従業員がリフレッシュしてさらに仕事に頑張って取り組んでくれれば経営者としても歓迎だと思います。有給休暇の取得率の向上で業績がよくなった企業はたくさんあります。有給休暇を取ってもらうことで結果生産性が向上できるとわかっている経営者も増えてきていると思います。特にベンチャー系の新しい企業の経営者こそ、そうした傾向があるように思います。

 「働き方改革」とは本当の狙いは「生産性の向上」にあるのだと思います。一人当たりの生産性を上げて、国民全員の所得を上げていくことが目指すべきゴールだと思います。

 そのために有給休暇は有効なツールだという考えになれば、見方も違ってくるのではないかと思います。暦通りの休暇や一斉休暇もいいですが、それにとらわれず今回の有給休暇の付与義務化に合わせて、交代で長期の休暇がとれる制度を導入することで、法律を満たし、さらに生産性の向上も見込めるとなれば、そうした制度の導入を検討する余地はあると思います。

 改正労基法の施行は、2019年4月と実はあまり時間がありません。施行時期からも「働き方改革」を実現したいという政府の強い意向も感じられますが、それだけに企業規模にかかわらず、有給休暇の5日付与義務化に向けて早急に対策を検討しなければなりません。長くなりましたが、「ワークライフバラス」の実現こそ、企業業績と大いに関係してくるという認識はこれから当たり前になってくるように思います。


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リワーク

Author:リワーク
鳥取市の社会保険労務士の田中です。日々の雑記からビジネス本の紹介から趣味の話まで、色々書いていきます。
企業の経営者、人事・総務担当の方からビジネスマンの方まで、役立つ情報をお届けいたします。
気軽になんでも相談してもらえる社労士を目指して、日々奮闘中です!お問い合わせは tanaka@rework-tottori.com 田中まで

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