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リストラ奨励金??

 鳥取市の社会保険労務士の田中伸一です。

 年度末が近付いて来年度に向けての奨励金の情報がちょこちょこ入ってくるようになりました。先ごろの補正予算でも創業や販促にかかる補助金が出ていましたが、このところの助成金は少しずつ変わってきているように思います。これには、安部政権になって国の政策に変化が見られるところで、それに合せて助成金の制度も見直しが行われるので当然のことかもわかりません。ただ、社労士としては助成金の書類作成が以前よりも煩雑になってきているので、大変なところでもあります(-_-;)



 以前では雇用の確保という観点から「雇用調整助成金」といったものがよく利用され、東北大震災でもこの助成金を利用して被害を受けられた企業も雇用を守ることが優先されたのは報道等でもされていました。しかし、現在は「雇用調整助成金」に類するものはどんどん縮小されて、なかなか受給するのが難しくなってきています。一つには、この助成金について不正受給が多いこともありますが、何よりも国の方針として、産業構造の変化よりいわゆる斜陽産業から今後に伸びが期待できる業界へと雇用の移行を促していきたいという意図が感じられます。政府は失業なき労働移動というような表現をしているようですが、個人的にはそんな簡単にこれまで慣れた仕事からいくら成長産業だといっても、明日から全く別の仕事をやれと言われてもそう簡単な話ではないように思います。



 この国の方針の下に今回大幅に拡充されたのが『再就職支援奨励金』なるものです。この助成金は、なんとリストラした会社と民間の職業紹介会社に助成金が支給されるという、んっと一瞬??となるような助成金です。あまり報道はされませんが、一部では批判的な意見もネットなんかで見られます。
以下、NEWSポストセブンより引用します。

 政府は賃上げを煽る一方、リストラを奨励している。そんなバカな、とお思いかもしれないが、3月から政府の「リストラ奨励金」が拡充されたのだ。制度の正式名は「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)」という。
 簡単にいえば、解雇者を人材紹介会社に送り、再就職が決まれば、リストラされたほうではなく、解雇した企業が助成金をもらえるという制度。これまで中小企業のみに支給されていたが、3月から大企業も対象となる。
 予算規模は2億円程度だったが、「失業なき労働移動の実現」という名目で、今回、約300億円にまで大拡充された。
 内容も強化されている。従来は再就職が決まった時点で支給していたが、今後は、人材紹介会社に委託した時点で一人につき10万円の助成金を企業がもらえ、さらに、そのリストラ者の再就職が決まれば、最大で60万円の助成金を企業が得ることになる(助成金は再就職先も得られる仕組み)。
 ちなみに、再就職実現の助成金はリストラから6か月以内に決まった場合が対象だが、45歳以上だと9か月以内と期間が長くなる。45歳以上をリストラしやすい設計となっている。
 助成金は企業が人材紹介会社に委託した時点で発生するため、実際は人材紹介会社に回る。そこには、こんな背景も囁かれている。
「安倍首相のブレーンである竹中平蔵氏は人材紹介会社パソナの親会社会長で、アベノミクスの労働規制改革でも発言力を持っています。今回の制度改革も、労働規制改革の流れで出てきたものです」(政府関係者)
 リストラする企業にも、再就職をあっせんする企業にも、それぞれに旨味のあるこの制度。唯一にして最大の問題は、リストラされる労働者だけが、その恩恵に与れないということだ。
週刊ポスト2014年3月28日号



 さすがにネットの2ちゃんねるなんかではかなり批判的なコメントがたくさん掲載されていましたが、額もなんと300億円、通常の助成金なんかよりもはるかに額も大きいです。毎年、年度末に近づく前に助成金の予算が終了したため募集を打ち切ったりされて、社労士としては申請を考えておられた企業に対してなんとも申し訳ない気分になるのですが、そんな助成金に300億もお金を回すなら、もっと利用が多くて、中小企業のためになる助成金の額をもっと増やしてもらいたいと思うのですが、その他の助成金は縮小、廃止傾向であるなか、なんともなぁと思ってしまいます。せめて新たに雇用をした企業にだけ補助金を支給するなら分りますが、どうして解雇した会社にまで支給するのかさらにどうして人材紹介会社にまで支給がされるのか、これは特に人材紹介会社の利益誘導だと言われても仕方ないように思います。(ここにも竹中氏が出てきますが、民間のできることは民間に規制改革が重要だという割には、自分の会社は思いっきり国のお世話になっているのではないかと。。。まぁ、あくまでも個人的な意見ですので(^_^;))それにこの助成金で再就職できてもうまくいくような気がしません。特に45歳を過ぎた方が新しい職場でって簡単でないはずです。それにこれで給料が以前より下がらない保障はどこにもないわけです。それなのに、リストラした会社はやれやれ、その上補助金までって、実際にはおそらく大企業のうまみが大きい補助金なのかなぁと思います。そもそもわざわざこんな補助金を作らなくてもハローワークの機能を強化するなり、今でも産業雇用安定センターとかいう再就職のあっせんをする機関がありますし、わざわざ多額の税金を投入してまでもやることなのかと疑問に思います。



 全くの個人的な意見ですが、斜陽産業って本当になくなってもいいのでしょうか?たしかに中国や新興国の台頭で厳しくどんどん廃業に追い込まれている企業が多いのも事実です。しかし、何十年もかかって培ってきた技術やノウハウを簡単に切ってしまってよいのでしょうか?一度失ったものはもう二度と元には戻りません。やり方によってはまだまだ再生できる可能性はあると思います。日本の様々な伝統、文化も受け継ぐ人がいなければやがてなくなってしまいます。いざ、もう一度再興をしようとしてももうダメです。長い歴史で培われたものは他の国にはマネできない貴重な日本の宝です。規制改革と言えば聞こえはいいですが、もっと慎重に考えていく必要があるように思います。



 この「再就職支援奨励金」に関しては社労士しては、なんとも使いにくい助成金だなぁと思います。おそらく私がこの助成金のお手伝いをすることはないと思いますが、この助成金がどんどん利用されるとすればなんとも複雑な気分になってしまいます。人生の多くの時間を占める労働に関しては、やはりみんなが安心して働けるために規制があったりすることは当然だと思います。今後の労働行政についてもチェックしていかなければと思います。(まぁ、私が何らここに書いたりしても影響力は皆無ではありますが・・・)


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助成金の是非について

はじめまして。
石川県で社会保険労務士をしております。助成金のことを調べているうちに、先生のブログを発見しました。1月に開業したばかりで、右も左もわからないなか、やみくもに営業しているうち、ある会社と業務提携し、助成金の申請を行うことになりました。助成金について学ぶよい機会と思ってはいますが、提携先の会社と打ち合わせをしていると、まず助成金ありきのような雰囲気で、複雑な気持ちになります。キャリアアップに関する助成金が主ですが、私はそもそも、事業主が従業員を教育して、そこに助成金が出るという我が国では同じみのこの制度が、あたかも大家が店子を世話するみたいな保護的なかんじがして、抵抗感があります。再就職支援助成金と違い、労働者は教育を受けることができるからメリットはあると思うかもしれませんが、あてがわれたものはそれほど有難いとは思わないのが人間ではないかと思います。県会では毎回のように、社労士の助成金不正受給について言われます。自分がかかわってみて、ようやくそのリスクがわかりかけています。先生のブログを読み、自分はどうあるべきかといったしっかりした考えがないままでは仕事を続けることができないのだと思いました。

No title

コメントありがとうございます。助成金ってホント難しいですね。ただ、本来国の政策によって助成制度が作られるわけで、その中で労務管理の重要さや給与計算についてなど事業主さんが気づかれることも多いです。私もそうですが開業当初は助成金の代行は避けて通れないと思います。不正はもちろんダメですが、社労士の存在意義を感じてもらうためにも助成金はきっかけとして大事なツールだと思います。

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リワーク

Author:リワーク
鳥取市の社会保険労務士の田中です。日々の雑記からビジネス本の紹介から趣味の話まで、色々書いていきます。
企業の経営者、人事・総務担当の方からビジネスマンの方まで、役立つ情報をお届けいたします。
気軽になんでも相談してもらえる社労士を目指して、日々奮闘中です!お問い合わせは tanaka@rework-tottori.com 田中まで

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